神経から痛みを紐解く 〜センサリー・モーター・アムネジア(SMA)とは〜

2019.11.26

 

長引く慢性痛は私達からエネルギーを奪います。悪化をすれば、家事や仕事など日常的なタスクをこなすことがやっとになり、やりたいことに取り組む余力はなくなります。休めば少しは楽になるものの、痛みがなくなる訳ではありません。目覚めたばかりの朝から疲れており、心理的にも余裕がなくなります。

このような慢性痛や慢性疲労のメカニズムを神経の視点から紐解く理論のひとつとして、「センサリー・モーター・アムネジア(SMA)」があります。

 

センサリー・モーター・アムネジア(SMA)とは

センサリー・モーター・アムネジア(SMA/感覚運動健忘)とは、ハンナ・ソマティック・エデュケーションの創始者であるトーマス・ハンナ(Tomas Hanna, Ph.D)が提唱した、ストレスやトラウマに対する脳と筋肉の適応反応についての理論です。ストレスやトラウマに対し、筋肉が反射的(無意識的)に収縮し続け、意識的に緩めることができなくなっている状態をさします。

 

なぜセンサリー・モーター・アムネジア(SMA)が起こるのか

人間の感覚神経と運動神経は脳で統合されており、常に連携しています。つまり、「感じること」と「動かすこと」は常にお互いに影響を与え合っているということです。ビジュアルではこのような感じです。(https://jonellmills.com さんから画像をお借りしました)

 

上の図の、脳内のピンクのところがsensory cortex=感覚皮質です。脳の黄色のところがmotor cortex=運動皮質です。共に随意(意識的)の脳です。“感じる”ことで、感覚皮質が現在の筋肉の状況を受容します。そして運動皮質はその状況に応じて運動の司令を出す、という形で連携をしています。緊張して肩が上がっていることを“感じる”と、それが感覚皮質に伝わり、それに応じて運動皮質が肩の筋肉の収縮を抑制する(緩める)“司令を出す”というのが一例です。

ところが、何らかの理由で身体が繰り返しストレスやトラウマ(ケガや手術を含む)に曝されると、筋肉が反射的に収縮することが習慣化、無意識化します。そうなると、感覚と運動のフィードバック、つまりは筋肉のコントロールをする脳の管轄が、意識的な脳である「皮質」から無意識的、反射的な脳である「脳幹」に移行します。そうなると、筋肉を意識的に感じて動かし、緩めることができない状態になります。つまり、筋肉のコントロールを失うということです。

筋肉が収縮し続けるということは、エネルギーを消耗し続けるということです。寝ている時も筋肉の収縮は続くため、休むことなくエネルギーを消耗し続けることになります。

 

この2枚目の画像は、センサリー・モーター・アムネジア(SMA)を表しています。
脳内の赤いところが脳幹です。感覚と運動のフィードバックが脳幹の支配下にあり、反射的に筋肉の収縮が続く状態を表しています。ピンクの感覚皮質で“感じ”、黄色の運動皮質で適した運動“指令を出す”という機能を使えていない状況です。図の左に書かれているように、「If you can’t feel it you can’t move it.(感じることができなければ、動かすことができない)、なのです。

 

センサリーモーターアムネジア(SMA)を回復させるには

センサリーモーターアムネジアは、感覚と運動のフィードバックシステムを再教育し、筋肉の制御についての脳の管轄を無意識の脳幹から随意の皮質に戻すことで回復させることができます。具体的には、バンディキュレーションという手法を用いて再教育を行います。筋肉を一旦より収縮させて感覚情報をインプットすることで筋肉の制御を大脳皮質レベルへとシフトさせ、ゆっくり少しずつ収縮を緩めることで、大脳皮質が自ら収縮を抑制するように促していきます。そうすることで、筋肉を元の状態よりもリラックスした状態に導きます。

 

このようなことに活用されています

センサリー・モーター・アムネジア(SMA)の改善は以下のような不調やパフォーマンスの向上に利点があります。

・慢性痛、慢性疲労の改善
・筋肉由来の頭痛
・事故や手術後の不調、トラウマ
・反復使用による傷害
・顎関節症
・体力の改善
・呼吸の改善
・運動能力の向上
・ダンス等の身体パフォーマンスの向上
・ストレス緩和
・エイジング

セッションの進め方、特徴

身体の部位に応じた8種類のレッスンで構成されています。プラクティショナーの口頭のガイドに従って、自分で身体を動かしていきます。動きはシンプルであり、ゆっくりと少しずつ動かすことが重要です。効果は累積的に現れるため、自宅でセルフエクササイズを行うとより効果的です。一旦8種類のレッスン内容を覚えてしまえば、自分で自分の身体を整えていけるようになります。

 

【お知らせ】
2019年10月より、 センサリー・モーター・アムネジア改善のためのセッション(モーション・ソマティクス:Motion Somatics)スタートしています。お申し込みはこちらからお願いします。

 

 

カテゴリー: ソマティック・ムーブメント

nature-flowでは、自己探索に必要な「安全」や「静けさ」、「ユーモア」や「柔らかさ」を大切にしています。そして、「症状をなくす」ことだけに注力するのではなく、その方固有の個性や本質(true nature)を活かした生き方の探索に寄り添うことを大切にしていきたい、そんな風に思っています。

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