TREワークショップ③:TREとSEの比較から感じたこと

2013.04.18

前回の続きです。

⇒TREワークショップ①:自然と身体

  TREワークショップ②:シャー・ピアスさん

シャー・ピアスさんによるTREワークショップは、1時間のレクチャーと2時間の実践、30分のシェアという構成でした。

<レクチャー:TREのトラウマ理論>

以前のブログでも書きましたが、TREの基本的なトラウマ理論はソマティック・エクスペリエンスと共通するところがとても多いです。今回のワークショップでは分かりやすく、以下のように説明されていました。

◇トラウマはエネルギーであり、高まったエネルギーが解放されたがっている状態

◇特に大腰筋(腰の深いところにある筋肉)は、内臓を守るために様々なトラウマに応じて緊張し、過剰なエネルギーを蓄積している。それが解放されないままでいると、腰痛などの原因にもなる。

◇涙を流す、震えるといったトラウマの解放反応をは、周囲から「弱い人」とみなされることが多いため、いらないエネルギーを内側に閉じ込めておくよう、我々人間は条件づけられている

◇TREのゴールは、「震え」を通じていらないエネルギーを解放し、体のシステムがバランスを取り戻すこと

<実践:震えを促すためのエクササイズ>

トラウマ理論の説明に続き、トラウマの解放(震え)を促すためのエクササイズを行いました。シャーさん独自の気功のエクササイズと、書籍「人生を変えるトラウマ解放エクササイズ」に掲載されているエクササイズです。

エクササイズの後、解放(震え)のためのポーズをとり、数十分程度、解放に身を任せる時間を過ごしました。

エクササイズを行っている時に大切なのは、しっかりと体に意識を置いていること、体から意識が離れそうだったり、多すぎると感じたらやめることだという説明がありました。これは、身体志向のトラウマワーク全般に当てはまりそうですね。

以下は私の個人的な印象、体験です。

エクササイズ自体に難しいことはなく、自宅で一人でできるというシンプルさは、TREの優れている点だと改めて感じました。自分で対処できることがあるというコントロール感は、トラウマに取り組む上での大きなリソースになりそうですね。

TREは動きによる解放のスピードが速いため、「何が解放されているか」を感じ取るという点は、少し難しかったように感じます。それは、少しずつプロセスを進めることや、統合のために5つの要素(身体感覚、イメージ、動き、情緒、意味)のバランスを重要視するソマティック・エクスペリエンス(SE)に私が慣れているからこそ感じたものだったのだと思います。そもそも、TREは「何が解放されているかを感じ、理解する」ということには重点を置いていないのだと思います。震えによるエネルギーの解放に専念するが故の実践のしやすさ、と言えるのかもしれません。

どちらか一方がいい、悪いのではなく、それぞれのセラピーに強みと弱みがあるのだと思います。交通事故によるショックトラウマと人間関係や発達の過程におけるトラウマなど、トラウマの種類によって、より強みを発揮するセラピーの種類も異なってくるのでしょう。また、自分一人で気軽に実践できるからこそ効果に繋がることと、セラピストなどの他者との関係性においてはじめて取り組めることもありそうです。一人一人に合った方法を選択したりうまく組み合わせていけるとプロセスに広がりが出てきそうですね。

3時間半という短い時間とは思えない程、多くのことを体験することができました。

シャー・ピアスさん、企画してくださった方々に感謝しています。

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