親密性のトラウマ~ソマティック・エクスペリエンス(SE)のアタッチメントワーク~

2015.04.18

人との関わりが疎遠な現代においても、“親密な関係性”が人生に与える影響は大きなものです。 精神分析家であるE.H.エリクソンの「心理社会的発達理論」においても、「親密性」は前成人期(23歳~34歳頃)に獲得すべき発達課題とされており、人が発達、成長していく過程で、避けては通れない重要な意味をもつテーマであることが分かります。「未婚者の寿命は既婚者の寿命と比べて8歳~9歳短い」という、国立社会保障・人口問題研究所の調査結果からも、親密な関係性の有無が心身に与える影響の大きさがうかがえます。 親密な関係を心から望んでいるにも関わらず、 ・人と一緒にいると安らげず疲れてしまう、 ・緊張して自由に振る ...もっと読む

映画「The cell」に見る、トラウマの世界

2014.08.10

どうしたら、トラウマやソマティック・エクスペリエンス(SE)についてわかりやすく説明できるだろう? そんなことを考えていた時、友達がある映画を教えてくれました。 「The cell」 絶頂期のジェニファー・ロペス演じるサイコセラピストが、連続殺人犯の「内的な世界」へ入り込み、事件の解決に挑むSFのサイコサスペンスです。2000年に上映され、当時はかなり話題になっていたようです。 「相手の内的な世界に入り込む」という、一見現実味のないストーリーではあるのですが、ある意味、ソマティック・エクスペリエンス(SE)でトラウマセラピーを行う際のエッセンスをうまく表現してくれています。 【閲覧注意】映画本 ...もっと読む

SE(ソマティック・エクスペリエンス)と漢方

2014.04.03

  新年度が始まりました。都内では桜が満開です。 ブログの更新が、なんと5ヶ月ぶりになってしまいました(;^ω^) この間、ちょっとした体調不良が続いておりました。去年の秋に歯の激痛に襲われたのを皮切りに、眠りが浅い、朝起きても疲れが取れていない、風邪を引くと治らない、食べても痩せる、やる気もない、挙句なんだか目つきもアヤシイ・・(;・∀・) 内科で血液検査をするものの、結果は健康体そのもの。もしや、少し早めの更年期症状なのだろうか・・。加齢を受け入れよう、自分。いやいや、これと長期的に共存していくのはかなりしんどい・・、などと自問自答する日々が続いておりました。 年が明け、少し落ち ...もっと読む

トラウマに取り組むその前に|ソマティック・エクスペリエンス(SE)が重視する「自己調整力」とは?

2013.11.09

「トラウマセラピー」と聞くと、実際にどんなことをしているイメージが浮かびますか?苦しい過去をセラピストに語っている場面でしょうか。あるいは、当時の未完了の感情に浸り、解放を試みている場面でしょうか。いずれにしても、「トラウマ」に付随する記憶や感情や身体感覚に、何らかの方法で取り組んでいる場面が浮かぶのではないかと思います。そりゃそうです。トラウマワークなんですから。 ソマティック・エクスペリエンス(SE)でトラウマとワークする際に、最初にしてはいけないことがあります。何だと思いますか? なんと、トラウマに取り組むことです。 (´・ω`・)エッ?  トラウマワークなのに、トラウマに取り組まないん ...もっと読む

各セラピーの特徴とゴール|自分に合うセラピーを選ぶために

2013.09.24

気分の落ち込みや不眠、パニックなど、心身の不調を訴える方の数は増加の一途を辿っています。巷には多くの心療内科や精神科が、インターネット上には様々なカウンセリング、セラピーの情報がありますが、実際に心身の不調に陥った時、どんな治療、カウンセリング、セラピーを受ければいいのかわからないという声も聞こえてきます。 様々な治療法、カウンセリング、セラピーの技法は、本人の苦痛を和らげることを目標とすることは共通しているものの、心身のどこにどういった働きかけを行い、何をゴールとするかは、それぞれ異なります。 自分自身にフィットした治療やセラピーを選択するために、それぞれの特徴、目指すゴールを知っておくこと ...もっと読む

“親密な関係”のトラウマ:アタッチメント(愛着)理論とトラウマへの影響

2013.07.15

親密な人間関係を築けない、というテーマで悩み、カウンセリングやセラピーを開始する方は少なくありません。長期的で安定した関係を築くのが難しい、わかっているのに危険な関係を繰り返してしまう、相手が安全な人物と分かっていても恐怖心が先立ち、相手から離れてしまう、相手への愛情は感じるものの、同時に憎しみも感じ、混乱した言動になってしまう、など、親密な関係性にまつわるパターンは様々です。 私達が築く「親密な関係」は、どのようなことが基礎になり、成り立っているのでしょうか。また、安定した豊かな関係を築くためのヒントはどこに あるのでしょうか。 対人関係の基礎となる<アタッチメント(愛着)>とは? アタッチ ...もっと読む

ソマティック・エクスペリエンス(SE)

2013.06.10

ソマティック・エクスペリエンス(SE)とは、ピーター・リヴァイン博士が開発した、穏やかで安全な新しいトラウマセラピーです。 神経系の過剰な覚醒にアプローチし、システムを整えることを目指します。 具体的には、身体感覚やイメージ、感情、体の動きなどを用いて、体内で行き場を失った未完了のエネルギーの解放を試みたり、身体へのタッチを通じて、関節、隔膜、臓器が協調し、神経系の過覚醒をうまくホールドできるようになることなどを目指していきます。 トラウマの種類によりアプローチの仕方は若干異なりますが、トラウマからの回復の鍵を握っている「爬虫類脳」とのコミュニケーション手段である「身体感覚」を主に用いてアプロ ...もっと読む

現代のトラウマアプローチ

2013.06.08

  気分の浮き沈みや不眠、不安、パニックなど、心身の不調を訴える人は増加の一途を辿っています。そのような不調は、主に<こころの問題>として捉えられ、精神医学や臨床心理学の領域として認識されてきました。そして<薬による対症療法>や認知行動療法などの<脳の知的な部分に働きかける心理療法>が日本での現在の主な対処法となっています。そのような対処で回復が得られる人がいる一方、薬の効果が得られない、頭では分かっていても体と気持ちがついていかない、調子がいい時と悪い時を繰り返し、不調が長期化する等、望ましい回復が得られない人がいるのも現状です。そのような経緯の中、主にアメリカを中心とし、<神経生 ...もっと読む

バース・トラウマ(出産時心的外傷)とは

2013.06.07

バース・トラウマとは、出生前や周産期に受けるトラウマのことを言います。お母さんの子宮の中で、主に呼吸や循環がうまく機能しなかったことが要因になると言われています。例えば、出生時に呼吸をしていなかった場合、へその緒が首に絡みついていた場合などにバース・トラウマの影響を受けている可能性が考えられます。他にも、鉗子分娩や吸引分娩、帝王切開などで、赤ちゃんが自分の足でお母さんの子宮を蹴り、回旋して生まれてくる機会を逸していると、同様の可能性があると言われます。 (上記のような状況で生まれてきた方の全てが、バース・トラウマの影響を受けるという訳ではありません。) 私が最初に「バース・トラウマ」という言葉 ...もっと読む

SIBAM(サイバム):統合のための5つの要素

2013.05.08

あっという間にゴールデンウィークも終わりました。 休日の疲れが出始める頃かもしれません。急激にペースを上げるのではなく、日常にソフトランディングできるといいですね。 前回少し触れました、SIBAM(サイバム)という概念について書いてみたいと思います。 SIBAMとは、「人間の体験の全体を形成する5つの要素」のことです。ソマティック・エクスペリエンスの創始者であるピーター・リヴァインによる概念です。 5つの要素とは、具体的には以下のことです。 S:感覚(Sensation) I:イメージ(Image) B:動き(Behavior) A:情緒(Affect) M:意味(Meaning) 多くの人の ...もっと読む



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