バース・トラウマ:世界との最初の出会いのトラウマ

2012.11.03

最近、アメリカのSEプラクティショナーのコンサルテーションを受けながら、「バース・トラウマ」の勉強をしています。

バース・トラウマとは、出生前や周産期に受けるトラウマのことを言います。お母さんの子宮の中で、主に呼吸や循環がうまく機能しなかったことが要因になると言われています。例えば、出生時に呼吸をしていなかった場合、へその緒が首に絡みついていた場合などにバース・トラウマの影響を受けている可能性が考えられます。他にも、鉗子分娩や吸引分娩、帝王切開などで、赤ちゃんが自分の足でお母さんの子宮を蹴り、回旋して生まれてくる機会を逸していると、同様の可能性があると言われます。

(上記のような状況で生まれてきた方の全てが、バース・トラウマの影響を受けるという訳ではありません。)

私が最初に「バース・トラウマ」という言葉を聞いたのは、4~5年前位でしょうか。

その時は、現実感がないというか、ファンタジーの世界の話のような印象を持ったことを憶えています。でも、ソマティック・エクスペリエンスの勉強を始め、少しずつ神経生理学について学ぶにつれて、出生前や周産期のそういった経験が、生まれ出てからの様々な症状の原因になり得るということは、もっともなことだと感じるようになりました。

うつや不安の治療を長年しているにも関わらず、なかなか症状が改善しないという方、大きな原因は思い当たらないのに、人や世界を信じられないという方達に、出生時の状況を詳しくお聞きしてみると、バース・トラウマの原因となる要素が見つかることが少なくありません。

呼吸や循環がうまく機能していないと、赤ちゃんは低い酸素の中で苦しみながらお母さんの産道をくぐりぬけてくることになります。強い怒りや恐怖、誰にも助けてもらえない、呼吸が止まって死ぬのではないか、という感覚。それらの怒りや恐怖、無力感などが、出生後の人生の中で再演され、ますますその感覚を強めていく、という可能性も指摘されています。

この世界との最初の出会いが、命の危険を感じる程の苦しみに満ちている訳です。そんな状況で生れ出た赤ちゃんが、この世界に何か違和感を感じたり、安心できなかったり、どこか常に不自由さを感じていたとしても、全く不思議ではないよな、とつくづく感じます。

バース・トラウマの影響から回復していくのに必要なことは、「安全なタッチ」です。赤ちゃんは言語を理解できないので、周囲の人からのタッチを通じて初めて、安心や温かさ、柔らかさを感じます。それが、人や世界への信頼を取り戻していくことに繋がるとソマティック・エクスペリエンスでは考えられています。

医療の対処が必要な出産だった場合、赤ちゃんはお母さんとは離れ、一定期間、医療の管理下に置かれることが一般的だと思います。命と発育を守ろうとするその試みが、お母さんやお父さんの暖かいタッチから赤ちゃんを遠ざけてしまうことの要因になっていることは、何とも切ないところです。

セッションの中でバース・トラウマにアプローチする際に用いるのも、やはり主にタッチです。タッチを通じて、安心しながら身体や感情を感じていくことを、少しずつ、少しずつお手伝いしていきます。

バーストラウマのセッションの対象になるのは、赤ちゃんだけではありません。大人になってからバーストラウマの影響を自覚し、セッションを開始する方も少なくありません。

私は今、バース・トラウマにとても興味を持っています。どの赤ちゃんも本当は得るべきであった「安心」や「心地よさ」を取り戻していく、そのプロセスに可能性を感じます。

もちろん幅広く対応できるプラクティショナーになることが目標ではあるのですが、特にバース・トラウマに関しては、じっくり深めていきたいと感じています。長く、そして喜びのあるプロセスになると予感しています。

それは、私の体験が影響しているのかもしれません。

私自身、自然分娩ではない形で生まれてきています。その経験が、私の意識をバース・トラウマに向けさせているのかもしれません。自分がこのテーマに向き合う、いい時期なのかもしれませんね。

自分のプロセスを進め、またひとつ自由になり、それをクライアントさんや周囲の人たちにシェア、還元できたら幸せだな、と思います。

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nature-flowでは、自己探索に必要な「安全」や「静けさ」、「ユーモア」や「柔らかさ」を大切にしています。そして、「症状をなくす」ことだけに注力するのではなく、その方固有の個性や本質(true nature)を活かした生き方の探索に寄り添うことを大切にしていきたい、そんな風に思っています。

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