神経系とのワークで大切なこと~タイトレーション~

2012.07.19

ソマティック・エクスペリエンス(SE)を用いて神経系にワークし、トラウマを解放していく際に重要となる考え方がいくつかあります。

そのひとつが、“タイトレーション”です。

“titrate”を辞書で引くと、「漸増する」という意味が出てきます。

漸増する、つまり、ちょっとずつ増やしていくという意味です。鎮痛剤の量の調整など、主に医療の領域で使われる用語のようです。

SEにおけるタイトレーションとは、ワークをする際に、トラウマにまつわる身体感覚やイメージ、感情などにいきなりどっぷり飛びこむのではなく、少しずつ、少しずつそれらにアクセスしていくことを意味します。

なぜ少しずつなのでしょう?
神経系は大きな負荷に耐えられないため、結局元のパターンに戻ってしまうからです。

トラウマの影響を大きく受けている方の神経系は、多くの場合、柔軟に働くことが難しくなっています。一つの例として、こういったパターンがあります。

・刺激に伴い、交感神経が活性化する。(車のアクセルを踏んでいる状態)
                         ↓
・副交感神経がうまく働かず、鎮静化することができない。(ブレーキがうまくきかない状態)
                         ↓
・交感神経はますます活性化していく。(車のスピードがどんどん上がっていく状態)
                         ↓
・命を守るため、副交感神経も目一杯活性化するが、追いつかず鎮静化できない。(アクセルとブレーキを同時に踏んでいるが、ブレーキが追いつかない状態)
                         ↓
・神経システムが持ちこたえられなくなり、交感神経も副交感神経もシャットダウンする。(車は動くことができず、オーバーヒートしている状態)

SEの目標のひとつは、こういった神経系を柔軟にし、安定させることです。
上記のパターンで言えば、交感神経が活性化してきたら、マイルドに副交感神経が働き、鎮静化する。そんな穏やかで柔軟なパターンを目指していきます。(パターンは人により違います。)

そのためには、セッションの中でも、少し交感神経が活性化したら、副交感神経で鎮静化する、また少し活性化したら、鎮静化する、という試みが必要になります。こういった試みが、新しい安定したシステムを作っていきます。少しずつ、少しずつ、ですね。

ですが、トラウマの影響により、神経系が極端なパターンに陥っていると、どうしてもトラウマに伴う感覚に引き寄せられやすくなってしまうと言われています。セッションの中でも、トラウマにダイブインしたくなってしまう訳です。

そんな時は、セラピストがクライアントさんの本流に戻すお手伝いをします。
なかなか戻ってこれない時は、結構強引です(笑)
突然関係のない話を始めることもあります。

SEの創始者であるピーター・リヴァインのセッションのDVDで、その場面を見たことがあります。
トラウマについての話が止まらず、どんどん交感神経が活性化していくクライアントさんに対し、ピーターは、わざと興味のなさそうな顔をして、自分のメガネを磨き始めました(!)。そうすることで、クライアントさんの意識をトラウマの渦から本流に戻している訳です。(真似するには勇気がいります。。)

こういったタイトレーションにもどかしさを感じ、ドラマティックなワークや劇的な変化を求める方も少なくないのだと思います。今が辛ければ辛いほど、それを求めるのも理解できます。

私自身、セラピストの方に超タイトレーションされ、とっても物足りない思いをした経験があります。ですがその数日後、私はLess is Moreを実感させられることになります。次回は、その時の体験を書いてみたいと思います。

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nature-flowでは、自己探索に必要な「安全」や「静けさ」、「ユーモア」や「柔らかさ」を大切にしています。そして、「症状をなくす」ことだけに注力するのではなく、その方固有の個性や本質(true nature)を活かした生き方の探索に寄り添うことを大切にしていきたい、そんな風に思っています。

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